G15勝馬のタイムパラドックスが24歳で死亡|2006年JBCクラシックの雄姿を忘れない

2000年代中盤のダート路線は熱気に満ちあふれていました。

芝からダートに転向し、破竹の勢いでダート界を席巻した「アドマイヤドン」

ダートのマイル路線で活躍し、海外のゴドルフィンマイルを制した「ユートピア」

そしてダートのマイル~中距離路線で安定した成績を出した「タイムパラドックス」です。

しかし、G15勝のタイムパラドックスが2022年2月10日、24歳で死亡しました。

タイムパラドックスは、アンタレスSで見た二度見するほどの馬体強化。

最終レースとなった2006年のJBCクラシック…等々、思い出します。

その時の思い出を交えつつ、タイムパラドックスを実際に見た感想や思いを書いていきます。

目次

ひたむきに頑張ったタイムパラドックス|2004年に重賞3勝の実力馬に変貌

体質の弱さが出たタイムパラドックス|2度の休養を挟む

タイムパラドックスを初めて知ったのは、2001年に開催された「テレビ東京杯青葉賞」です。

3歳500万下を含め2連勝で勝ち進んできたものの…実力差があったのか大敗の11着。

その後、骨折が判明して2001年シーズンを棒に振ったのです。

「体質が弱く、小まめに使えない」と言う情報を、競馬新聞や雑誌で見ていたが、本当になるとは思っていませんでした。

復活したものの、2003年6月~秋ごろまで再び長期休養へ入りました。

その頃から「ダート路線」へ転向しており、私も彼の名前を聞くことはありませんでした。

二度見するほどの馬体強化|2004年シーズンは重賞馬へ変貌

タイムパラドックスの名前を再び聞いたのは2004年のことです。

知り合いから「タイムパラドックスが帰ってきた!」と、興奮気味に来たのです。

「そんな馬もいたな…」と思いつつ、当時は全く印象がなかった。

しかし、知り合いと一緒に京都開催の「アンタレスS」に行ったときに我が目を疑う光景がありました。

パドックで堂々と歩く彼の姿は、3歳時の馬体とは180度違っていました。

まるで改造手術を受けたかのように、筋肉量が増大し、馬体全体が完成形と言わんばかりに輝いていたのです。

もちろん、アンタレスSに出走したタイムパラドックスは、サイレンスボーイを振り切り1着でした。

今までのうっ憤を晴らすかのように突き進み、2004年シーズンは「JBCクラシック(G1)」を含め重賞4勝!

彼の馬体から見るに、体質&馬体強化のために調教師や厩務員の皆さんと協力し、ひたむきに努力してきたと思います。

2006年JBCクラシックは絶対見逃すな!岩田騎手渾身の手腕で有終の美を飾る

2006年は体調不良が現れる|凡走&競争除外が増える

2005年、タイムパラドックスの進化が止まりません!

勝ちきれないレースはあったものの「川崎記念」「帝王賞」「JBCクラシック」を制覇!

2005年だけでG13勝挙げています。

このまま順風満帆に、2006年シーズンを迎えられる!と私自身も思っていましたが…

2006年に入ると、3歳時に問題だった体調不良が顕著に見られました。

同シーズンの川崎記念で3着に入るものの、その後のレースは鳴かず飛ばず。

旭川で開催された、ブリーダーズゴールドカップでは競争除外になるほど、体調不良が悪化したのです。

2004年、2005年で私に見せてくれた筋骨隆々の馬体、走れば何物もなぎ倒すほどの力強い競馬は見る影もなくなりました…。

札幌で開催されたエルムSでは、馬群に飲み込まれていくタイムパラドックスを実際に見ては「もう限界なのかな?」と思えるほどです。

2006年JBCクラシックで有終の美!岩田騎手渾身の騎乗でG15勝&連覇を決める

2006年も後半に差し掛かったころ、地方&中央のダート王を決める「JBCクラシック」が開催!

その時の鞍上は、前レースから手綱を引く「岩田騎手」です。

当時の岩田騎手は乗りに乗っており、中央競馬の騎手ランキング3位の実績です!

とは言え、昨今の成績を見ると他馬と比べてさえないためか、5番人気でした。

しかし!このレースは、タイムパラドックスの名を全国に知らしめるほど、伝説のレースになりました!

出走~2週目に入るまで、タイムパラドックスは中団にポジション取りし、相手の出方を見ていました。

ですが、600m付近で逃げている「3番:マズルブラスト」を抜かし、一気に先頭へ!

この光景を見ていた私自身「最後の直線で垂れるかな…」と思うほど、大胆な騎乗です。

ところが!私の考えとは裏腹に、タイムパラドックスが先頭をキープ。

まるで全盛期の姿が戻ったかのように、後続を寄せ付けない圧巻の末脚をさく裂します。

1番人気に推された「シーキングザダイヤ」も迫ってきましたが、差が縮まらずに2着。

タイムパラドックスは、全盛期の姿を彷彿させる力強い競馬で見事、JBCクラシックを連覇しました。

これからもダート路線を引っ張っていく名馬!…と思われましたが、骨折が長引きJBCクラシックを最後に引退しました。

まとめ

最後に、タイムパラドックスが走った年代は、ダート界の猛者達が集う群雄割拠の時代でした。

アドマイヤドンを始め、メイショウボーラーやユートピア。

そして2000年代後半のダート界を引っ張る「ヴァーミリアン」「カネヒキリ」…等々、

実力がなければ勝ち残れない、正にベリーハードモードにタイムパラドックスはおかれていました。

ですが、彼の実力は間違いなく本物であり、そうそうたるメンバーの中でG15勝、JBCクラシック連覇はお見事です。

24歳で亡くなったのは悲しいことですが、もしかしたら天国で再び走り続けているかもしれません。

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