【メイショウテッコン】フィエールマンと鎬を削ったステイヤー|早すぎる引退

最後の1冠「菊花賞」を制し、天皇賞(春)を2連覇した名馬「フィエールマン」

彼の華々しい活躍の裏で、3歳クラシック戦線~4歳の春まで鎬を削ったステイヤーがいます。

その馬の名は「メイショウテッコン」です。

フィエールマンの他に、中距離~長距離で活躍した「エタリオウ」香港ヴァーズで勝利した「グローリーヴェイズ」

等々、一線級の馬達と勝負してきましたが2021年3月21日をもって引退しました。

化け物揃いの2018年世代の陰に隠れた名馬を、今回は解説していきます。

目次

注目の低かったメイショウテッコン|新馬戦を鮮やかに勝利

セレクションセールで運命の人と出会う

メイショウテッコンは、 下屋敷牧場で2015年4月17日に誕生しました。

生まれた当初、ディープインパクト、サトノダイヤモンドのように注目された馬ではありません。

当時、下屋敷牧場の誕生した馬に重賞馬はおらず、後にメイショウテッコンが重賞勝利を挙げるまで未勝利でした。

そして父「マンハッタンカフェ」も、コンスタントに重賞馬を出しますが、肝心のG1勝利がジョーカプチーノ、クイーンズリング等、数等しかいない状態です。無論、日本ダービー制覇はいません。

そのため、特に注目は集まらず「普通の競走馬」程度の扱いでした。

ですがメイショウテッコンは、運命の人とセレクションセールで出会います。

それが「松本好雅」オーナーです。

日本馬主協会連合会の名誉会長を務めており、「メイショウドトウ」「メイショウサムソン」と言ったG1馬を所有するオーナーです。

周囲の人間の薦めもあり(基本的に松本オーナーは自身だけで購入しません)、1,600万円(税別)で購入。

松本オーナーの冠名「メイショウ」そして「鉄魂」が与えられ「メイショウテッコン」の馬名が付きました。

2歳新馬戦を勝利|父に1000勝目をプレゼント

メイショウテッコンがデビューしたのは「2017年09月03日:小倉競馬場」の新馬戦です。

このレースは、圧倒的1番人気「レッドヴァール」がいる中、メイショウテッコンは3番人気でした。

血統や調教内容から、レッドヴァールの勝利は固い!

そう思われていましたが、メイショウテッコンが首差を制して新馬勝ちしました!

この勝利により、次のステップに進めると同時に、父マンハッタンカフェに「1000勝目」をプレゼントしました。

勢いに乗り、3歳クラシック戦線へ!

と言いたいところですが、ここからメイショウテッコンのライバル達が登場します!

エタリオウ、ステイフーリッシュが登場|フィエールマンと初対決

最強の1勝馬エタリオウと初対決|鼻差を制して勝利!

2戦目の黄菊賞(500万下)で敗れ、2歳シーズンを終えたメイショウテッコン。

次なるレース2018年1月27日の「梅花賞(500万下)」です。

ですが、後に最強の1勝馬と言われる「エタリオウ」と、ここで初対決になります!

レースがスタートすると、メイショウテッコンの戦略は今までと180度違う「逃げ」でした。

名手「武豊」に導かれたメイショウテッコンは、エタリオウの追撃を鼻差で退けます!

乗り替わり且つ戦略も今までと違うと、私の経験上では馬券内、まして1着をとるのは非常に難しいことです。

勝利したのは、メイショウテッコンの力と武豊騎手の腕にあると思います。

京都新聞杯でステイフーリッシュ&グローリーヴェイズと初対決!

皐月賞トライアルの「若葉ステークス」に出走するものの、6着に終わりクラシック戦線から脱落。

次走の「G2 京都新聞杯」に向け、調教が進んでいました。

いざ本番になると、後々G1戦線で活躍する「グローリーヴェイズ」しぶとい競馬で勝負する「ステイフーリッシュ」等、今では考えられないほど、豪華なメンツが揃っています。

相手が強化されたこともあり、メイショウテッコンは17頭中12番人気の低評価。

ここではレベルが違う…と思われましたが、勝ちパターンの逃げが上手くはまり、12番人気ながら「5着」に入りました!

1着は「ステイフーリッシュ」4着には「グローリーヴェイズ」のため、2頭との力関係はそこまで離れていません。

それを証拠に、3週間後に行われた「白百合ステークス(OP)」では「1000m:59秒」と言うハイペースで逃げ、2着のサラキアに3馬身差で勝利しました。

残念ながら「皐月賞」「日本ダービー」への出走は叶いませんでしたが、着々と力を付けているのは間違いありません。

そして、最大のライバルと「2018年7月1日:ラジオNIKKEI賞(G3)」とぶつかるのです!

フィエールマンと初対決|トップハンデ56kgを背負いながらも勝利!

毎年7月上旬に開催される「ラジオNIKKEI賞」は、クラシックに出れなかった競走馬が集まる重賞レースです。

そのせいか「残念ダービー」と呼ばれることもあります。

さて、メイショウテッコンはラジオNIKKEI賞に出場すると、これから何度も戦う最大のライバルが登場します。

それが「フィエールマン」です。

フィエールマンはこれまで「2018年1月28日:新馬戦」「2018年4月14日:山藤賞(1勝クラス)」の2戦のみ!

キャリア3戦目で重賞初挑戦です。

メイショウテッコンは、これまでの成績が評価され出場馬の中でトップハンデの「56kg」を背負いました。

フィエールマンは実力馬ながら、54kgのためメイショウテッコンに不利なレースです。

しかし、蓋を開けてみればメイショウテッコンの先行策がはまり、福島の短い最終直線ではフィエールマンの追い込みが届きませんでした。

ついにメイショウテッコンは、重賞馬の仲間入りを果たしたのです!

さらに、生産者の下屋敷牧場にとって初めての重賞馬が誕生した瞬間でした。

メイショウテッコンは菊花賞に出走|フィエールマンと2度目の対決

前哨戦は神戸新聞杯|ライバル達と再度激突!

秋初戦の「神戸新聞杯(G2)」では、再度「ステイフーリッシュ」「エタリオウ」と対決。

更に皐月賞馬「エポカドーロ」日本ダービー馬「ワグネリアン」も出走していました。

メイショウテッコンより格上レースで戦ってきた名馬ばかり。結果は残しているものの6番人気でした。

しかし、メイショウテッコンは戦法を変更せず、果敢にも逃げを打ちました。

最終直線。もう少しで勝利が見えていましたがワグネリアン、エタリオウの2頭に差され、3着で終わりました。

とは言え、格上の競走馬と戦い3着は大きな収穫です。

この勢いのまま、クラシック最後のレース「菊花賞」へと向かうのです。

そんな中、虎視眈々と菊花賞勝利へ準備を進めるある競走馬がいました。

メイショウテッコン 菊花賞へ出走!フィエールマンと2度目の対決

クラシック最後のレース「菊花賞」では、誰もが一度は聞いたことがある名馬が勢ぞろいでした!

  • エポカドーロ(皐月賞馬)
  • エタリオウ(日本ダービー4着)
  • ブラストワンピース(2018年:有馬記念制覇)
  • グローリーヴェイズ(2019年:香港ヴァーズ制覇)
  • ユーキャンスマイル(2019年からステイヤーとして覚醒)
  • ステイフーリッシュ(4歳以降、G2~G3で掲示板を殆ど外さない馬へと変貌)

この中で、メイショウテッコンはこれまでのレースが評価され、18頭中5番人気でした。

(1番人気は「ブラストワンピース」2番人気は「エタリオウ」3番人気は「エポカドーロ」でした)

誰もが、上位5頭で決まると思っていたレースになんと!「フィエールマン」が参戦しました!

キャリア4戦目で菊花賞出走は前代未聞であり、ぶっつけ本番もあってか「7番人気」です。

そして、菊花賞の幕が上がりました!

メイショウテッコンはスタートが上手くいかず、逃げ戦法が使えず後方スタートです。

自分のペースで進めず、さらにスローペースで進んだためか最終直線でも伸びきれません。

残念ながら、菊花賞の神様はメイショウテッコンを選びませんでした。

では誰が優勝したのか?

答えは7番人気の「フィエールマン」です。

最終直線、エタリオウとの叩きあいを鼻差で制したのです。

キャリア4戦目の菊花賞は史上最少の快挙でした。

皮肉にも、フィーエルマンが勝利したことで2001年「マンハッタンカフェ」以来となる、関東馬の菊花賞制覇となったのです。

最終対決は天皇賞(春)|フィエールマンと3度目の対決

2019年初戦の「日経新春杯(G2)」では「グローリーヴェイズ」に敗れるものの、3月の「日経賞(G2)」では「エタリオウ」を破り重賞2勝目を挙げました。

迎えた2019年4月の天皇賞(春)、淀の舞台で最大のライバル「フィエールマン」と3度目の対決が実現しました。

13頭中、4番人気と差がない5番人気に押されたメイショウテッコン。

他にも「打倒フィエールマン!」に燃える「エタリオウ」「グローリーヴェイズ」「ユーキャンスマイル」も出走してます。

堂々の1番人気のフィエールマンを同期、そして「パフォーマプロミス」を始めとする古馬勢が挑みます!

そして天皇賞(春)の幕が上がりました。

メイショウテッコンは、4番のヴォージュに先手を取られるものの2~3番手を追走。

スタートからスタンド前通過まで、淡々とした流れで進みます。

しかし!2周目の2コーナーから、フィエールマンが徐々に先行集団へ取りつきます。

第3コーナーから最終コーナーに向け、フィエールマンの他に、メイショウテッコンも動き出します。

さらにグローリーヴェイズ、エタリオウも続きます。

最終直線でメイショウテッコンは内を選択!

ですが、メイショウテッコンの勢いもここまでした。フィエールマン・グローリーヴェイズ2頭の追い比べになり、馬群へ沈んでいきました。

追い比べを制したのは「フィエールマン」です。

キャリア6戦目の天皇賞(春)制覇は史上最短の記録です。

脚部不安で長期療養|2021年復活を目指したが…

天皇賞(春)の後、メイショウテッコンは「脚部不安」を発症し長期療養に入りました。

2019年、2020年を棒に振りましたが、2021年に復帰予定と発表されたのです。

出走予定は「日経賞(G2)」

2019年に自身が勝利したレースでの復帰を、ファンは待ちわびていました。

しかし、脚部不安は解消されず2021年3月21日に引退したのです。

僅か2年のキャリアでしたがその間、幾多の名馬達と激闘を繰り広げました。

G1馬、後にG1を獲得する名馬達の中で重賞2勝は輝かしい成績です。

私自身も新馬戦から応援してきた競走馬だったため、引退を聞いて残念に思いました。

メイショウテッコンには、競走馬ではない穏やかな第2の人生を歩んで欲しいです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次